
近年、シンプルでモダンな外観の家が増えており、その中でも特に窓が少ない家が注目を集めています。
プライバシーの確保や防犯性の向上、そして何よりその洗練されたおしゃれなデザインに惹かれる方も多いのではないでしょうか。
しかし、窓が少ない家には、その魅力的な側面の裏で、いくつかのデメリットも存在します。
例えば、採光が不足しがちで日中でも室内が暗く感じられたり、風通しが悪く空気がこもりやすかったりといった問題です。
また、圧迫感を感じてしまい、想像していたよりも快適な暮らしが送れないという後悔の声も耳にします。
家づくりは一生に一度の大きな買い物ですから、後悔だけはしたくありませんよね。
そこで重要になるのが、メリットとデメリットを正しく理解し、適切な対策を講じることです。
この記事では、窓が少ない家を建てる際に知っておくべき、断熱性や建築コストといったメリットから、防犯やプライバシー面での注意点、そして多くの人が懸念する採光や風通しの問題に対する具体的な対策まで、網羅的に解説していきます。
これから窓が少ない家を検討している方が、後悔のない理想のマイホームを実現するための一助となれば幸いです。
- 窓が少ない家の具体的なメリット
- 後悔につながりやすいデメリット
- 採光不足を解消するための対策
- 風通しを確保する換気計画の重要性
- コストを抑えつつ快適な家を建てる方法
- おしゃれで機能的な間取りの工夫
- 防犯性とプライバシーを高める設計のコツ
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目次
窓が少ない家のメリットとおしゃれな魅力
- 高い断熱性で建築コストを抑える
- 防犯とプライバシーを守りやすい設計
- 耐震性も期待できるシンプルな外観
- 壁が多く家具のレイアウトが自由
- 閉塞感が圧迫感につながるデメリット
高い断熱性で建築コストを抑える
窓が少ない家を建てる上で、最も大きなメリットの一つとして挙げられるのが、その高い断熱性にあります。
住宅において、熱の出入りが最も大きい場所は、実は窓や玄関などの開口部なのです。
夏は外の暑い空気が窓を通して室内に侵入し、冬は室内の暖かい空気が窓から逃げていきます。
つまり、窓の面積が大きければ大きいほど、外気の影響を受けやすくなり、冷暖房の効率が低下してしまう傾向にあるわけです。
その点、窓が少ない家は、壁の面積が広くなるため、魔法瓶のように家全体を高性能な断熱材で覆うことが容易になります。
これにより、外気温の影響を受けにくく、夏は涼しく冬は暖かい、一年を通して快適な室温を保ちやすい住環境を実現できるのです。
この高い断熱性は、日々の光熱費の削減に直結します。
冷暖房の使用頻度や設定温度を抑えることができるため、月々の電気代を大幅に節約できる可能性があり、長期的な視点で見れば非常に大きな経済的メリットと言えるでしょう。
さらに、建築時のコスト面でも有利に働くことがあります。
窓は壁に比べて部材そのものが高価であり、設置にも手間がかかるため、建築費用を押し上げる要因の一つです。
窓の数を減らすことで、窓サッシやガラス、カーテンやブラインドといった関連部材の費用を削減できます。
もちろん、断熱性能の高い壁を施工するためのコストはかかりますが、窓を多用する場合と比較して、トータルの建築コストを抑えられるケースは少なくありません。
このように、窓が少ない家は、快適な室温維持による光熱費の削減と、建築時の初期費用抑制という、二つの側面からコストメリットを生み出すことができるのです。
断熱性能とコストの関係
住宅の断熱性能は、Q値(熱損失係数)やUA値(外皮平均熱貫流率)といった指標で表されます。
これらの数値が小さいほど、断熱性能が高いことを意味します。
窓が少ない家は、これらの数値を向上させやすく、国が推進するZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準などをクリアしやすいという特徴もあります。
ZEH基準を満たす住宅は、補助金制度の対象となる場合もあり、さらなるコストダウンも期待できるかもしれません。
- 窓の削減による部材費・施工費のカット
- 高い断熱性による冷暖房効率の向上
- 長期的な光熱費の削減
- ZEH基準などを満たしやすく補助金の対象になる可能性
家づくりにおいて費用は非常に重要な要素ですから、これらのメリットは大きな魅力と感じる方が多いのではないでしょうか。
防犯とプライバシーを守りやすい設計
現代の住環境において、防犯とプライバシーの確保は非常に重要な課題です。
窓が少ない家は、これらの課題に対して非常に有効な解決策を提示してくれます。
まず防犯面についてですが、空き巣などの侵入犯罪の多くは、窓ガラスを割って侵入するケースが後を絶ちません。
物理的に窓の数が少なければ、それだけ侵入経路が限定されることになり、必然的に防犯性能は向上します。
特に、道路に面した側や隣家から死角になりやすい場所に窓を設けない設計にすることで、侵入リスクを大幅に低減させることが可能です。
また、窓が少ないことで、家の中に人がいるのか、どのような生活をしているのかといった情報を外部に漏らしにくくする効果もあります。
これは、犯罪者に「留守かもしれない」と思わせない、あるいは「侵入しにくい家だ」という印象を与える上で非常に重要です。
次にプライバシーの確保という観点です。
都市部や住宅密集地では、隣の家との距離が近く、大きな窓があると隣家や道路からの視線が気になってしまい、カーテンを開けられないという悩みを抱える方も少なくありません。
窓が少ない家であれば、外部からの視線を自然にシャットアウトできます。
これにより、一日中カーテンを閉め切った生活から解放され、家の中で誰にも気兼ねなくリラックスして過ごすことができるようになります。
特に、リビングや寝室といったプライベートな空間の窓を最小限にすることで、安心感は格段に高まるでしょう。
中庭(パティオ)を設けて、家の内側に向かって大きな窓を配置する設計も人気です。
この方法なら、外からの視線を完全に遮りながらも、開放感と明るさを確保することができ、プライバシーと快適性を両立させることが可能です。
このように、窓が少ない家は、外部の脅威や視線から家族の安全とプライベートな時間を守るための「シェルター」としての役割を果たしてくれると言えるでしょう。
日々の暮らしに安心と落ち着きを求める方にとって、これは何物にも代えがたい大きなメリットではないでしょうか。
耐震性も期待できるシンプルな外観
日本は世界でも有数の地震大国であり、家を建てる上で耐震性は最も重視すべき性能の一つです。
実は、窓が少ない家は、その構造的な特徴から耐震性の向上にも寄与する可能性があります。
建物の耐震性を考える上で重要な要素となるのが、「耐力壁(たいりょくへき)」の量とバランスです。
耐力壁とは、地震や台風などの水平方向の力(横からの力)に抵抗し、建物の変形や倒壊を防ぐ役割を持つ壁のことを指します。
建築基準法では、建物の大きさや階数に応じて、必要な耐力壁の量が定められています。
窓やドアなどの開口部は、当然ながら耐力壁にはなりません。
そのため、窓が多い家は、その分、耐力壁として使える壁の面積が減ってしまうことになります。
設計上、必要な量の耐力壁を確保できていたとしても、その配置が偏ってしまうと、地震の際に力が集中する部分が生まれ、建物がねじれるように変形してしまうリスクが高まります。
一方で、窓が少ない家は、構造的に壁の面積が広くなります。
これにより、十分な量の耐力壁を確保しやすく、さらにそれらを建物全体にバランス良く配置することが容易になるのです。
耐力壁が均等に配置された家は、地震の揺れを建物全体で受け止めて分散させることができるため、変形しにくく、倒壊のリスクを低減できます。
この構造的な強さは、外観のシンプルさにも繋がります。
凹凸の少ない箱型(キューブ型)のデザインは、地震の力を受け流しやすい形状であり、構造的にも安定しています。
近年、デザイン性の高さから人気のあるキューブ型の住宅は、窓を少なくすることで、そのミニマルで洗練された印象をより一層際立たせることができます。
もちろん、窓が多い家であっても、適切な構造計算と補強を行えば、十分な耐震性を確保することは可能です。
しかし、窓が少ないという選択肢は、特別な補強に頼らずとも、建物の基本的な構造として高い耐震性を実現しやすいという点で、一つのアドバンテージを持っていると言えるでしょう。
大切な家族と財産を守る家だからこそ、この構造的な安心感は、家選びの重要な判断材料になるはずです。
壁が多く家具のレイアウトが自由
住み始めてから意外なメリットとして実感されることが多いのが、家具の配置のしやすさです。
窓が多い家、特に床まである大きな掃き出し窓がいくつもある家では、家具を置ける壁面が限られてしまいます。
「ここにソファを置きたいのに、窓が邪魔になる」「本棚を設置したいけれど、壁がない」といった悩みは、実は非常に多く聞かれます。
窓の前に家具を置くと、窓の開閉がしにくくなったり、せっかくの採光を遮ってしまったりするため、どうしても配置が制限されてしまうのです。
その点、窓が少ない家は、壁の面積が圧倒的に広くなります。
これは、家具のレイアウトの自由度が格段に高まることを意味します。
テレビボードやソファ、ダイニングテーブル、収納棚、本棚といった大型の家具を、生活動線を考慮しながら好きな場所に配置しやすくなります。
壁面を活かした造作棚や壁掛けテレビの設置も自由自在です。
また、壁はインテリアを楽しむためのキャンバスにもなります。
お気に入りの絵画やポスター、家族の写真を飾ったり、アクセントクロスや装飾的なタイルで壁の一面を彩ったりと、インテリアの可能性が大きく広がります。
プロジェクターを投影して、自宅で手軽にホームシアターを楽しむ、といった現代的なライフスタイルにも最適です。
窓が少ないと聞くと、閉鎖的な空間をイメージするかもしれませんが、壁を上手に活用することで、むしろ自分たちの暮らしに合わせた、機能的で個性豊かな空間を創り出すことができるのです。
模様替えが好きな方や、将来的な家族構成の変化に合わせて柔軟にインテリアを変えたいと考えている方にとって、この「壁の多さ」は非常に大きな利点となるでしょう。
家は、暮らしの変化に合わせて成長していくものです。
家具の配置に悩まされることなく、自分たちのスタイルに合わせて空間を編集していける。これは、長く快適に暮らしていく上で、見逃せない重要なポイントと言えます。
閉塞感が圧迫感につながるデメリット
これまで窓が少ない家の多くのメリットをご紹介してきましたが、もちろん良い面ばかりではありません。
最も懸念されるデメリットが、「閉塞感」や「圧迫感」です。
四方を壁に囲まれた空間は、心理的に窮屈さを感じさせることがあります。
特に、もともと開放的な空間を好む方や、閉所に対して苦手意識がある方にとっては、この圧迫感が大きなストレスにつながる可能性があります。
窓は、単に光や風を取り込むだけの設備ではありません。
外の景色を眺めたり、空の色の変化を感じたりすることで、私たちは無意識のうちに空間の広がりや奥行きを感じています。
窓が少ないと、この「外との繋がり」が希薄になり、室内が実際以上に狭く感じられたり、まるで箱の中にいるような感覚に陥ったりすることがあるのです。
この感覚は、日々の暮らしの中で少しずつ蓄積され、気づいた時には「なんだか落ち着かない」「家にいてもリラックスできない」といった後悔の原因になりかねません。
また、採光が不足しがちになるため、日中でも室内が薄暗く、気分が沈みがちになるという声もあります。
日当たりの悪い部屋にいると、体内時計が乱れやすくなったり、精神的な健康に影響を及ぼしたりする可能性も指摘されています。
この閉塞感や圧迫感は、家の広さや天井の高さ、内装の色など、様々な要因によって感じ方が変わってきます。
例えば、狭い部屋で壁の色が暗いと、圧迫感はより一層強まるでしょう。
窓が少ない家を検討する際には、モデルハウスや完成見学会などで、実際に同様のタイプの家を体感してみることが非常に重要です。
図面や写真だけでは分からない、空間のスケール感や空気感を肌で感じ、自分たちがその環境で快適に過ごせるかどうかを慎重に判断する必要があります。
このデメリットを理解し、後述するような対策(吹き抜けや天窓の設置、内装の工夫など)を計画段階でしっかりと盛り込むことが、後悔しない家づくりの鍵となります。
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窓が少ない家で後悔しないための対策
- 天窓や吹き抜けで採光を補う工夫
- 明るい色の内装やインテリアの活用
- 計画的な換気で風通しを良くする
- 間取りの工夫で開放感を演出する
- 事前に避難経路を確認しておくこと
- 理想を叶える窓が少ない家の建て方
天窓や吹き抜けで採光を補う工夫
窓が少ない家の最大の課題である「採光不足」を解決するための最も効果的な方法が、天窓(トップライト)や吹き抜けの設置です。
壁面の窓から入る光は、時間帯や方角、周辺の建物の影響を大きく受けますが、天窓から差し込む光は、上空から直接届くため、時間帯による変化が少なく、安定して明るさを確保できるという大きなメリットがあります。
壁面の窓に比べて約3倍の採光効果があるとも言われており、一つ設けるだけでも室内の明るさは劇的に改善されます。
特に、北向きの部屋や家の中心部など、壁からの採光が期待できない場所に設置すると非常に効果的です。
最近では、断熱性や遮熱性に優れた高機能な天窓も増えており、夏の暑さ対策も万全です。
リモコンで開閉できるタイプを選べば、採光だけでなく、効率的な換気(風通し)にも役立ちます。
次に、吹き抜けも開放感と明るさを同時に手に入れるための有効な手段です。
1階と2階を縦につなぐ吹き抜けをリビングなどに設けることで、空間に縦方向の広がりが生まれます。
これにより、窓が少なくても圧迫感が大幅に軽減され、開放的な雰囲気を演出できます。
吹き抜けの高い位置に窓(高窓)を設置すれば、プライバシーを確保しながら、安定した光を1階の奥まで届けることが可能です。
この高窓からの光は、床や壁に反射して空間全体を柔らかく照らしてくれるため、非常に心地よい明るさが得られます。
採光シミュレーションの活用
設計段階で、専門家による採光シミュレーションを行うことをお勧めします。
コンピューター上で建物の3Dモデルを作成し、季節や時間帯ごとの太陽の動きを計算することで、室内のどの場所に、どの程度の光が差し込むのかを正確に予測できます。
このシミュレーション結果を基に、天窓や吹き抜け、高窓の最適な位置や大きさを検討することで、採光計画の失敗を防ぐことができます。
これらの工夫を取り入れることで、窓が少ない家のデメリットである「暗さ」や「閉塞感」を解消し、プライバシーを守りながらも、明るく開放的な、心地よい住空間を実現することができるでしょう。
明るい色の内装やインテリアの活用
窓が少ない家の閉塞感を和らげ、室内を広く明るく見せるためには、内装やインテリアの工夫が非常に重要になります。
特別な間取りの変更がなくても、視覚的な効果を上手に利用することで、空間の印象は大きく変わります。
最も基本的で効果的なのが、壁や天井のクロス(壁紙)を白やアイボリー、明るいベージュといった膨張色でまとめることです。
明るい色は光を反射しやすく、空間全体を広く、そして明るく見せる効果があります。
特に、天井を壁よりもさらに一段明るい色にすると、視線が上に誘導され、天井が高く感じられるようになります。
床材も、明るいナチュラル系のフローリングや白系のタイルなどを選ぶと、床からの光の反射も期待でき、部屋全体がより一層明るい雰囲気になります。
もし、全ての壁を白にするのが単調でつまらないと感じる場合は、部屋の一面だけをアクセントウォールとして、少し色味のあるクロスや素材感のあるタイルなどを使うのも良いでしょう。
この場合も、彩度の高いビビッドな色よりは、淡いパステルカラーやアースカラーなど、落ち着いた色合いを選ぶのがポイントです。
家具やカーテン、ラグといったインテリアも、同様に明るいトーンで統一すると、空間に広がりが生まれます。
家具は、背の低いものを選ぶと、部屋の奥まで視線が抜けるため、圧迫感を軽減できます。
また、ガラス製のテーブルや、脚の細いデザインのソファや椅子を選ぶと、床が見える面積が増え、空間を広く見せる効果が期待できます。
照明計画も重要な要素です。
部屋全体を均一に照らすシーリングライトだけでなく、壁や天井を照らす間接照明(コーブ照明やコーニス照明)や、特定の場所を照らすスポットライトなどを組み合わせることで、空間に陰影と奥行きが生まれます。
壁を光で照らすと、その壁面が明るく浮かび上がり、部屋が広く感じられる効果があります。
これらの視覚的なテクニックを組み合わせることで、物理的な広さはそのままでも、体感的な広さや明るさを大きく向上させることが可能です。
窓が少ないからこそ、内装やインテリアの工夫で、自分たちらしい心地よい空間を創り上げる楽しみがあるとも言えるでしょう。
計画的な換気で風通しを良くする
窓が少ない家において、採光と並んで大きな課題となるのが「換気(風通し)」の問題です。
窓を開けて自然の風を取り込む機会が少ないため、空気がこもりやすく、湿気や臭いが溜まりがちになります。
湿気が多い状態が続くと、結露やカビ、ダニの発生原因となり、建物の寿命を縮めるだけでなく、住む人の健康にも悪影響を及ぼしかねません。
そのため、窓が少ない家では、自然換気に頼るのではなく、「計画的な機械換気」のシステムをしっかりと導入することが不可欠です。
2003年の建築基準法改正により、現在では全ての住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられています。
これは、室内の空気を2時間で全て入れ替える能力を持つ換気設備のことです。
この24時間換気システムには、いくつかの種類があります。
- 第一種換気: 給気と排気の両方を機械(ファン)で行う方式。最も確実で安定した換気が可能。熱交換器を組み込んだタイプなら、外気の温度を室温に近づけてから取り込むため、冷暖房のエネルギーロスを最小限に抑えられます。窓が少ない家に最も適した方式と言えるでしょう。
- 第二種換気: 給気のみを機械で行い、排気は排気口から自然に行う方式。室内が正圧(外より気圧が高い状態)になるため、汚れた空気が侵入しにくく、クリーンルームなどで採用されます。住宅ではあまり一般的ではありません。
- 第三種換気: 排気のみを機械(換気扇)で行い、給気は給気口から自然に取り込む方式。浴室やトイレの換気扇がこれにあたります。コストは安いですが、外気の温度がそのまま入ってくるため、冬場は給気口付近が寒く感じられることがあります。
窓が少ない家では、コストはかかりますが、最も確実な換気ができる「第一種換気」、特に熱交換型を導入することを強く推奨します。
また、換気システムの性能を最大限に引き出すためには、家の気密性(C値)を高めることも重要です。
気密性が低いと、意図しない隙間から空気が漏れてしまい、計画通りの換気が行えません。
窓が少ない家は、もともと開口部が少ないため気密性を高めやすいというメリットもあります。
さらに、間取りの工夫も風通しに影響します。
例えば、家の対角線上に開閉可能な小窓や換気用の窓を設けておくと、一時的に窓を開けて風を通したい時に、効率よく空気を入れ替えることができます。
室内ドアにアンダーカット(ドア下の隙間)やガラリ(通気口)を設けるなど、家全体の空気の流れを止めない工夫も大切です。
これらの計画的な換気対策を講じることで、窓が少なくても常に新鮮でクリーンな空気環境を保ち、一年中快適に過ごすことができます。
間取りの工夫で開放感を演出する
窓が少ないことによる圧迫感を解消するためには、間取りの工夫が非常に効果的です。
壁で細かく部屋を区切るのではなく、視線が抜けるような広がりを感じられる空間設計を心がけることがポイントになります。
最も一般的な手法が、リビング・ダイニング・キッチンを一体化させた「LDK」スタイルです。
これらの空間を壁で仕切らずに一つながりの大空間とすることで、面積以上の広がりと開放感を得ることができます。
家族がどこにいても気配を感じられるという、コミュニケーションの観点からのメリットもあります。
また、「リビング階段」も空間を広く見せるのに有効です。
廊下や壁で仕切られた独立した階段室を設けるのではなく、リビング内に階段を配置することで、階段自体が空間のアクセントになるとともに、上下階の繋がりが生まれます。
前述した「吹き抜け」と組み合わせれば、その効果は絶大です。
さらに、室内の壁を極力減らすというアプローチも考えられます。
例えば、寝室と書斎、あるいは子供部屋などを、完全に壁で仕切るのではなく、背の低い家具や可動式の間仕切り、あるいはスキップフロア(床の高さに段差をつける)で緩やかに区切る方法です。
これにより、プライベートな領域を確保しつつも、空間全体の繋がりは保たれ、圧迫感を軽減できます。
室内窓(室内ドア)を取り入れるのも面白いアイデアです。
廊下とリビングの間や、書斎と寝室の間などにガラス張りの間仕切りや窓を設けることで、光や視線を通し、閉塞感を和らげる効果が期待できます。
中庭(パティオ)や光庭(ライトコート)を設けるというのも、窓が少ない家と非常に相性の良い間取りです。
建物の中心や一部に外部空間を取り込むことで、プライバシーを守りながら、家の内側に向かって大きな窓を設置できます。
これにより、どの部屋にも安定した光と風を届けることができ、外からの視線を気にすることなく開放感を満喫できるという、まさに理想的な空間が生まれます。
これらの間取りの工夫は、設計の初期段階で検討することが非常に重要です。
自分たちのライフスタイルを想像しながら、建築家や設計士とよく相談し、最適なプランを見つけ出すことが、開放感あふれる快適な家づくりの鍵となるでしょう。
事前に避難経路を確認しておくこと
見落とされがちですが、窓が少ない家において非常に重要なのが、万が一の際の「避難経路」の確認です。
特に、火災が発生した場合、窓は煙を排出したり、避難したりするための重要な出口となり得ます。
窓が少ないということは、それだけ避難の選択肢が限られるということを意味します。
建築基準法では、火災時の避難や消防隊の進入のために、一定の条件を満たす窓を「非常用進入口」として設置することが義務付けられています。
通常、2階建て以上の住宅では、道路に面した部分の2階以上に、この非常用進入口を設けなければなりません。
窓が少ない家であっても、もちろんこの法的な基準はクリアしています。
しかし、法律で定められた最低限の基準を満たしていることと、実際に安全に避難できるかどうかは、また別の問題です。
家づくりを計画する段階で、図面を見ながら、火災などの緊急時にどの部屋から、どのようにして安全に屋外へ避難するかを家族全員でシミュレーションしておくことが極めて重要です。
例えば、以下のような点を確認しておきましょう。
- 各部屋から玄関や勝手口までの避難経路は複数あるか。
- 寝室など、夜間に長時間過ごす部屋からの避難は容易か。
- 非常用進入口として想定されている窓は、子供や高齢者でも簡単に開けられるか。
- 窓から避難する場合、安全に地上まで降りるための手立てはあるか。(例えば、バルコニーや庇(ひさし)の有無など)
- 煙の性質(上に昇る)を考慮し、できるだけ低い位置で避難できる経路はあるか。
特に、2階以上の階層に寝室がある場合は注意が必要です。
階段が煙で使えなくなった場合を想定し、バルコニーに出られる窓や、比較的安全に飛び降りられる高さの窓の位置を確認しておくべきです。
また、住宅用火災警報器の設置は全ての住宅で義務化されていますが、煙を感知するタイプと熱を感知するタイプがあります。
寝室や階段には煙感知式を設置するなど、適切な場所に適切な種類の警報器を設置することで、早期発見・早期避難に繋がります。
デザイン性や快適性も大切ですが、家族の命を守る「安全性」が、家づくりの大前提です。
窓が少ない家の設計を進める際には、この防災・避難の視点を決して忘れないようにしましょう。
理想を叶える窓が少ない家の建て方
これまで見てきたように、窓が少ない家には多くのメリットがある一方で、慎重に対策すべきデメリットも存在します。
後悔せずに、その魅力を最大限に活かした理想の家を建てるためには、計画段階での綿密な準備が何よりも重要です。
まず、「なぜ自分は窓が少ない家を建てたいのか」という目的を明確にすることがスタートラインです。
「洗練されたミニマルなデザインが好きだから」「プライバシーを最優先したいから」「光熱費を抑えて経済的に暮らしたいから」など、その動機によって、設計で重視すべきポイントは変わってきます。
次に、その目的を共有し、実現するための技術と経験を持った建築会社や設計事務所をパートナーに選ぶことが成功の鍵を握ります。
窓が少ない家の設計実績が豊富な会社であれば、採光や換気、圧迫感の解消といった課題に対する様々なノウハウやアイデアを蓄積しています。
過去の施工事例を見せてもらったり、実際に建てた家を見学させてもらったりするのも良いでしょう。
そして、設計の打ち合わせでは、自分たちの要望を遠慮なく伝えることが大切です。
例えば、「暗いのは絶対に嫌だ」というのであれば、採光シミュレーションを依頼し、天窓や吹き抜けの設置を積極的に検討してもらいましょう。
「風通しが悪いのは困る」ということであれば、第一種熱交換換気システムの導入や、風の通り道を意識した窓の配置を提案してもらうべきです。
机上の空論で終わらせず、モデルハウスや完成見学会に足を運び、窓が少ない空間のスケール感や明るさ、空気感を実際に体感することも忘れてはなりません。
自分たちが「心地よい」と感じるかどうか、その感覚を大切にしてください。
窓が少ない家は、設計の自由度が高い分、建築家の力量や施主のこだわりが色濃く反映される家づくりと言えます。
メリットを最大限に引き出し、デメリットを工夫で克服することができれば、それは他にない、自分たち家族だけの快適で安心な「理想の住まい」となるはずです。
情報収集と準備を怠らず、信頼できるパートナーと共に、後悔のない家づくりを進めていきましょう。
- 窓が少ない家は断熱性が高く光熱費を抑えやすい
- 開口部が少ないため防犯性とプライバシー確保に有利
- 壁面積が広く耐力壁を配置しやすいため耐震性が高い
- 家具のレイアウトが自由でインテリアを楽しめる
- メリットの裏には採光不足や圧迫感というデメリットがある
- 後悔しないためにはデメリットへの対策が不可欠
- 天窓や吹き抜けは効果的な採光対策になる
- 高窓の設置でプライバシーと採光を両立できる
- 内装を白などの膨張色にすると空間が広く見える
- 計画的な機械換気で風通しと空気の質を保つ
- 第一種熱交換換気システムが最もおすすめ
- LDKや吹き抜けなど間取りの工夫で開放感を演出する
- 室内窓や中庭も圧迫感の解消に有効な手段
- 万が一の火災に備え避難経路の確認は必須
- 信頼できる設計者と共に計画を進めることが成功の鍵
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