工務店に建築士がいない?不安を解消する全知識

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「この工務店、良さそうだけど建築士がいないらしい…」

家づくりを検討する中で、このような情報を耳にして、大きな不安を感じていませんか。

大切なマイホームを任せるのに、専門家である建築士がいないなんて、一体どういうことなのか。

設計の品質は大丈夫なのだろうか、デザインは希望通りになるのか、そもそも法律的に問題はないのか、と次々に疑問が湧いてくるのも無理はありません。

あるいは、担当者とのコミュニケーションは円滑に進むのか、施工管理は誰が責任を持って行うのか、万が一トラブルが発生した際のリスクはどうなるのか、といった契約や安全性に関する心配も尽きないでしょう。

さらに、工務店に建築士がいない場合、設計事務所に頼むのと比べて費用面にどんな違いがあるのか、メリットとデメリットを正確に把握したいと考えるのは当然です。

この記事では、まさにそうした「工務店に建築士がいない」という状況が具体的に何を意味するのか、その仕組みから徹底的に解説します。

結論から言うと、工務店に建築士がいないこと自体が、直ちに危険なわけではありません。

多くの場合、社内に建築士を置いていないだけで、信頼できる外部の建築士や設計事務所と提携して家づくりを進めているのです。

この記事を最後まで読めば、工務店に建築士がいない場合の設計体制、建築士法との関連、必要な資格や確認申請の流れが明確に理解できます。

そして、品質や信頼性を見極めるための注意点を知り、あなたにとって最適なパートナー選びができるようになるでしょう。

本記事のポイント
  • 工務店に建築士がいない本当の意味
  • 設計事務所との根本的な違いと契約形態
  • 設計やデザインの品質は保たれるのか
  • 費用面でのメリットとデメリット
  • 法律違反にならないかという心配
  • 失敗しない工務店選びの具体的な注意点
  • 外部の建築士と連携する際のポイント

 

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目次

工務店に建築士がいない場合の仕組みと実情

ポイント
  • 社内にいないだけで設計は外部の建築士が担当
  • 設計事務所との違いは設計と施工の契約形態
  • デザインの自由度と品質は工務店次第
  • 気になる費用は割高になるとは限らない
  • 法律上の問題はなく建築確認申請も可能

社内にいないだけで設計は外部の建築士が担当

「工務店に建築士がいない」と聞くと、無資格の人が家を設計しているのではないかと心配になるかもしれません。

しかし、その実態はほとんどの場合、「社内に建築士資格を持つ社員が常駐していない」というだけで、設計業務そのものを放棄しているわけではありません。

多くの工務店は、長年の付き合いがある信頼できる外部の建築士や設計事務所とパートナーシップを結んでいます。

そして、顧客から住宅建築の依頼があった際に、それらのパートナーに設計を依頼するという体制を採っているのです。

この仕組みは、工務店が自社の強みである「施工」に集中するための、非常に合理的な経営判断ともいえます。

常に社内に設計士を抱えておくことは人件費の面で負担が大きく、特に地域に根差した中小規模の工務店にとっては現実的ではない場合もあります。

そこで、施工の技術力や地域での評判を武器に集客し、設計という専門分野は外部のプロフェッショナルに任せるという分業制が成り立つのです。

重要なのは、設計図を作成し、建築確認申請といった法的手続きで署名・捺印するのは、提携している一級建築士や二級建築士であるという点です。

つまり、あなたの家の設計は、資格を持った専門家が責任を持って行っていることに変わりはありません。

工務店は、いわば家づくりのプロジェクト全体を管理するプロデューサーのような役割を果たし、施主であるあなたと外部の建築士、そして自社の施工チームとの間を繋ぐハブとなるのです。

この体制を理解すれば、「建築士がいない」という言葉の表面的な意味に惑わされることなく、その工務店の本質的な実力を見極めることができるようになるでしょう。

設計事務所との違いは設計と施工の契約形態

工務店に建築士がいない場合の家づくりと、設計事務所に依頼する家づくりは、何が根本的に違うのでしょうか。

その最も大きな違いは、「誰と」「どのような契約を結ぶか」という点にあります。

この契約形態の違いが、費用、責任の所在、プロジェクトの進め方など、家づくり全体に影響を与えます。

工務店に依頼する場合(設計施工一貫方式)

工務店に建築士がいない場合でも、多くは「設計施工一貫」という方式をとります。

これは、施主であるあなたが工務店と「工事請負契約」を一本だけ結ぶという形です。

この契約の中に、外部の建築士に委託する設計業務も含まれています。

窓口が工務店に一本化されるため、設計の打ち合わせから施工、アフターサービスまで、すべてのやり取りを工務店の担当者と行うことになります。

コミュニケーションがシンプルで、責任の所在が明確であるというメリットがあります。

設計事務所に依頼する場合(設計監理方式)

一方、設計事務所に家づくりを依頼する場合は、まず施主と設計事務所が「設計監理業務委託契約」を結びます。

この契約に基づき、建築士があなたと共にプランを練り上げ、詳細な設計図を作成します。

その後、その設計図を元に複数の工務店に見積もりを依頼し、最も条件の良い工務店を施主が選定します。

そして、施主と選ばれた工務店との間で「工事請負契約」を結びます。

つまり、契約が「設計」と「施工」で二本立てになるのが特徴です。

この場合、建築士は施主の代理人として、設計図通りに工事が行われているかを厳しくチェック(工事監理)する役割を担います。

両者の違いのまとめ

この二つの方式の違いを、以下の表にまとめました。

項目 工務店に依頼(設計施工一貫) 設計事務所に依頼(設計監理)
契約形態 施主と工務店で「工事請負契約」を1本結ぶ 施主と設計事務所で「設計監理契約」、施主と工務店で「工事請負契約」の2本を結ぶ
窓口 工務店に一本化 設計は設計事務所、施工は工務店(ただし設計事務所が間に入る)
建築士の立場 工務店のパートナー(下請け) 施主の代理人・パートナー
施工会社の選定 依頼した工務店が施工する 設計完了後に複数の工務店から競争入札などで選定できる
工事監理 工務店または提携建築士が行う 設計した建築士が第三者の立場で厳しくチェックする

このように、契約形態の違いが建築士の立場やプロジェクトの進め方に大きく関わってきます。

どちらが良い・悪いということではなく、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の家づくりに対する考え方や価値観に合った方法を選ぶことが重要です。

デザインの自由度と品質は工務店次第

「工務店に建築士がいないと、ありきたりなデザインの家しか建てられないのでは?」と懸念する方もいるかもしれません。

確かに、一部には決まったパターンや得意な工法を中心に提案する工務店も存在します。

しかし、これは「建築士がいないから」というよりは、その工務店の経営方針や提携している建築士のスタイルに大きく依存します。

デザインの方向性は提携建築士で決まる

工務店がどのような建築士とパートナーシップを組んでいるかによって、提案されるデザインの幅は大きく変わります。

例えば、特定のデザインスタイル(モダン、和風、カントリー調など)を得意とする建築士と主に提携している工務店であれば、そのテイストの家づくりに強みを発揮するでしょう。

逆に、様々なタイプの建築士と幅広いネットワークを持つ工務店であれば、施主の多様な要望に応える柔軟な提案が期待できます。

したがって、工務店を選ぶ際には、その会社の施工事例を詳しく見ることが非常に重要です。

過去の事例を見ることで、その工務店がどのようなデザインレベルの家を建ててきたのか、提携している建築士のデザインセンスは自分の好みに合うか、といった点を具体的に判断できます。

もし、施工事例のデザインが気に入れば、社内に建築士がいるかいないかは、もはや大きな問題ではないかもしれません。

品質は「設計品質」と「施工品質」の両輪で考える

住宅の品質は、「設計品質」と「施工品質」という二つの側面から考える必要があります。

  • 設計品質: 住みやすさ、動線の工夫、デザイン性、構造的な安全性など、図面上で計画される品質。
  • 施工品質: 設計図をいかに忠実に、そして丁寧に現実の建物としてつくり上げるかという、現場の技術力に関わる品質。

工務店に建築士がいない場合、設計品質は外部の提携建築士の技量に委ねられます。

一方で、施工品質は、その工務店が本来持つ職人の腕や現場管理能力にかかっています。

たとえ素晴らしい設計図が描けても、それを形にする施工技術が伴わなければ、質の高い家は完成しません。

逆もまた然りです。

優れた工務店は、質の高い設計を提供する建築士と、その設計意図を正確に汲み取り、高いレベルで実現できる施工能力の両方を兼ね備えています。

つまり、「建築士がいないから品質が低い」と一概に言えるものではなく、その工務店が「どのような建築士と連携し、どれほどの施工能力を持っているか」という総合力で判断する必要があるのです。

見学会やOB宅訪問などを利用して、実際の建物の仕上がりや、細部の納まりなどを自分の目で確かめることも、品質を見極める上で欠かせないプロセスと言えるでしょう。

気になる費用は割高になるとは限らない

建築士に直接依頼するよりも、工務店を通した方が費用が安くなるイメージがあるかもしれませんし、逆に中間マージンで高くなるのでは、と考える方もいるでしょう。

実際のところ、工務店に建築士がいない場合の費用構造は少し複雑で、一概に高いとも安いとも言えません。

費用の内訳はどうなっているのか

まず、家づくりの総費用は大きく分けて「設計料」と「工事費」から成り立っています。

設計事務所に依頼する場合:

設計料は「工事費の〇%(一般的に10%~15%程度)」といった形で別途支払うのが一般的です。

これは純粋に設計と工事監理に対する報酬であり、非常に透明性が高いと言えます。

工務店に依頼する場合:

「設計施工一貫」のため、見積書には「設計料」という独立した項目が記載されないことがよくあります。

外部の建築士に支払う設計料は、工務店の経費として「工事費」の中に含まれている形になります。

このため、一見すると設計料がかかっていないように見え、総額が安く感じられることがあります。

トータルコストで比較することが重要

しかし、見積もりの見た目だけで判断するのは早計です。

重要なのは、最終的に支払うトータルコストがどうなるか、です。

工務店は、長年の付き合いがある提携建築士に継続的に設計を依頼することで、一案件あたりの設計料を比較的安価に抑えられている可能性があります。

また、設計段階から施工のしやすさやコストを考慮したプランニング(いわゆるコストダウンのノウハウ)に長けている場合も多く、結果的に工事費全体を抑えることができるかもしれません。

一方で、設計事務所に依頼するメリットもあります。

設計完了後に複数の工務店から相見積もりを取ることで、競争原理が働き、適正な価格で最も技術力の高い工務店を選ぶことができます。

建築士が施主の立場でコスト管理を行うため、無駄な費用を削減できる可能性も高まります。

  1. 工務店方式:設計料が工事費に内包され、総額が分かりやすい。工務店のノウハウでコストダウンが期待できる。
  2. 設計事務所方式:設計料は別途だが透明性が高い。競争入札により工事費の適正化が期待できる。

どちらの方式が自分の価値観に合っているか、予算とこだわりたいポイントのバランスを考えながら検討することが大切です。

「建築士がいないから安い」と単純に考えるのではなく、提案されたプランの内容と見積もりの総額をしっかりと比較検討しましょう。

法律上の問題はなく建築確認申請も可能

家を建てる際には、その設計が建築基準法をはじめとする様々な法律に適合しているか、行政の審査を受ける必要があります。

この手続きを「建築確認申請」と呼びます。

この申請には、建築士の資格を持つ者による設計図書の作成と署名・捺印が不可欠です。

では、工務店に建築士がいない場合、この法的な手続きは一体誰が行うのでしょうか。

建築士法と建築確認申請の仕組み

日本の建築士法では、建物の規模や構造によって、設計・工事監理を行える建築士の資格が定められています。

例えば、一般的な木造2階建て住宅であっても、延床面積が100㎡を超える場合は二級建築士以上の資格が必要です。

そして、建築確認申請の書類には、設計を行った建築士が「設計者」として記名し、資格を証明する情報を記載しなければなりません。

工務店に建築士がいないケースでは、この重要な役割を提携している外部の建築士が担います。

工務店は施主との窓口となり、プロジェクト全体を管理しますが、法律で定められた設計者としての責任は、実際に設計を行った外部の建築士が負うことになります。

したがって、工務店の社内に建築士がいるかいないかにかかわらず、正規の資格を持った建築士が設計に関与し、法的な手続きを行っていれば、法律上の問題は一切ありません。

「設計事務所登録」の有無も確認

もう一つ知っておきたいのが、「建築士事務所登録」です。

他者からの依頼を受けて報酬を得て設計業務を行う場合、その組織(個人または法人)は都道府県に「建築士事務所」としての登録をする必要があります。

たとえ工務店が外部の建築士に設計を依頼する場合でも、その工務店自身が施主と設計を含む契約(工事請負契約)を結ぶのであれば、原則として建築士事務所登録が必要です。

多くの工務店はこの登録を済ませています。

一方で、提携する外部の建築士(または設計事務所)が施主と直接「設計契約」を結び、工務店は「工事請負契約」のみを結ぶという形を明確に分けている場合もあります。

少し複雑に感じるかもしれませんが、確認すべきポイントは「最終的に誰が設計者として責任を負い、法的な手続きを行うのか」が明確になっているか、という点です。

契約前に、建築確認申請は誰の名前で行うのか、設計を担当する建築士の資格や経歴はどのようなものか、といった点を確認しておくと、より安心して家づくりを進めることができるでしょう。

 

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工務店に建築士がいないからこそ知るべき注意点

ポイント
  • 連携する建築士との相性というメリット
  • 提案や施工に関するデメリットの可能性
  • 過去の施工事例でデザインの傾向を確認
  • 担当者とのコミュニケーションにおける注意点
  • 契約前に品質管理の体制を確認しよう
  • まとめ:工務店に建築士がいない不安の解消法

連携する建築士との相性というメリット

一見するとデメリットばかりが気になる「工務店に建築士がいない」という状況ですが、実は施主にとってメリットとなり得る側面も存在します。

それは、工務店と提携建築士との間に築かれた「良好な連携関係」です。

スムーズなコミュニケーションが生む効率性

特定の工務店が長年にわたり同じ建築士や設計事務所と仕事をしている場合、両者の間には「あうんの呼吸」とも言えるような深い相互理解が生まれています。

工務店側は、その建築士のデザインのクセや得意なディテール、図面表現の意図などを熟知しています。

逆に建築士側も、その工務店の施工能力の高さや得意な工法、職人の技術レベルを把握した上で設計を行います。

この関係性は、プロジェクトの進行において非常に有利に働きます。

例えば、設計段階で建築士が描いたプランに対し、工務店が施工上の観点から「この納まりはもっとコストを抑えてきれいに見せる方法がある」といった、より現実的で建設的な提案をすることが可能です。

逆に、現場で予期せぬ問題が発生した際にも、設計者と施工者が迅速に連携し、最適な解決策を見つけ出すことができます。

このようなスムーズな連携は、無駄な手戻りや工期の遅延を防ぎ、結果的にコストの抑制や品質の向上に繋がる可能性があるのです。

相性の良いチームによる一体感

家づくりは、設計者だけでも、施工者だけでも完結しません。

施主、設計者、施工者という三者が一つのチームとして、同じ目標に向かって進んでいく共同作業です。

工務店と提携建築士が既に良好なパートナーシップを築いている場合、施主はその「相性の良いチーム」に加わる形となります。

設計と施工の垣根が低く、風通しの良いコミュニケーションが期待できるため、施主の要望が設計に反映され、さらにその意図が正確に現場の職人まで伝わりやすくなるというメリットがあります。

もちろん、これはあくまで理想的なケースであり、すべての工務店と建築士の関係が良好であるとは限りません。

しかし、「建築士がいない」という事実の裏側にある、こうした「チームとしての一体感」という潜在的なメリットにも目を向けてみる価値はあるでしょう。

初回の相談時に、提携している建築士はどんな人なのか、普段どのように連携して仕事を進めているのか、といった具体的な質問をしてみることで、その工務店のチームワークの質を垣間見ることができるかもしれません。

提案や施工に関するデメリットの可能性

メリットがある一方で、工務店に建築士がいない、あるいは外部の建築士と提携する体制には、施主が注意すべきデメリットやリスクも存在します。

これらを事前に理解しておくことは、後悔のない家づくりのために不可欠です。

第三者によるチェック機能の不在

最大のデメリットとして挙げられるのが、「第三者による客観的な工事監理」が期待できない点です。

設計事務所に依頼した場合、建築士は「施主の代理人」として、工務店の施工が設計図通りに行われているか、手抜きや間違いはないかを厳しくチェックします。

これは、施工者である工務店とは完全に独立した立場だからこそ機能する、重要な役割です。

しかし、工務店が提携する外部建築士に設計を依頼した場合、その建築士にとっての「お客様」は、実質的に仕事を発注してくれる工務店である、という側面が生まれます。

この力関係の中で、建築士が施工上の問題点を見つけたとしても、工務店に対してどこまで強く是正を求めることができるか、という懸念が生じるのです。

いわば、設計者と施工者が身内のような関係になり、馴れ合いが生まれることで、施主の利益が損なわれるリスクがゼロではない、ということです。

提案内容の偏り

もう一つの懸念は、提案されるデザインや仕様が、工務店の都合に偏ってしまう可能性です。

例えば、工務店が特定の建材メーカーと深い関係にある場合、建築士もそのメーカーの製品を優先的に提案するかもしれません。

また、その工務店が得意とする工法や、施工しやすい単純なデザインばかりが提案され、施主が本当に望むような挑戦的なアイデアや複雑な設計が敬遠される可能性も考えられます。

本来、建築士は施主の要望を最大限に引き出し、専門家として最適な形を提案するべき存在です。

しかし、工務店との力関係によっては、その創造性や中立性が十分に発揮されない場面もあり得るのです。

これらのデメリットは、すべてのケースで当てはまるわけではありません。

多くの誠実な工務店と建築士は、施主のために最善を尽くしています。

しかし、施主自身がこうしたリスクの可能性を認識し、「私たちのための提案か、工務店のための提案か」という視点を持ち、主体的に家づくりに関わっていく姿勢が重要になります。

過去の施工事例でデザインの傾向を確認

工務店選びで失敗しないために、最も信頼できる情報源の一つが「過去の施工事例」です。

特に、工務店に建築士がいない場合は、その工務店がどのようなデザインレベルの家を、どの程度の品質で建ててきたのかを判断する上で、施工事例のチェックは絶対に欠かせません。

何を、どのようにチェックすべきか

工務店のウェブサイトやパンフレットに掲載されている写真を見るだけでなく、可能であれば完成見学会やOB宅訪問に積極的に参加し、実際の建物を五感で体感することが重要です。

チェックすべきポイントは以下の通りです。

  • デザインの多様性: 似たようなスタイルの家ばかりか、それともモダン、ナチュラル、シンプルなど、様々なテイストの家を建てているか。これは、提携している建築士の幅広さや、施主の要望に応える柔軟性を示しています。
  • デザインの好み: 掲載されているデザインは、純粋にあなたの好みに合っていますか。いくら技術力が高くても、デザインの方向性が合わなければ、満足のいく家は建ちません。
  • プランニング力: 間取りや動線に工夫が見られますか。単におしゃれなだけでなく、暮らしやすさが考えられているかという視点で見てみましょう。
  • 素材選びのセンス: フローリング、壁紙、建具、タイルなど、使われている素材の組み合わせや質感はどうか。細部に神は宿ります。
  • 施工の丁寧さ: クロスの継ぎ目、建具の納まり、塗装の仕上げなど、細部の仕上げを注意深く観察しましょう。施工品質はこうした部分に表れます。

これらの点を総合的に見ることで、その工務店と提携建築士の「デザイン力」と「技術力」を客観的に評価することができます。

事例について深掘りして質問する

見学会や相談の際には、気に入った施工事例について、担当者に深掘りした質問をしてみましょう。

「この家の設計は、どこの建築士さんが担当されたのですか?」

「施主さんからは、どのような要望があってこのデザインになったのですか?」

「この部分の納まりは、どうしてこのようにしたのですか?何か工夫した点はありますか?」

これらの質問に対する担当者の答え方によって、その工務店の家づくりに対する姿勢や、設計内容への理解度を測ることができます。

もし担当者が設計の意図やこだわりを熱心に語れるようであれば、建築士と密に連携し、品質への意識が高いチームである可能性が高いと言えるでしょう。

逆に、答えが曖昧だったり、「設計のことは建築士に任せているので…」といった他人事のような態度だったりした場合は、少し注意が必要かもしれません。

担当者とのコミュニケーションにおける注意点

家づくりは、何ヶ月、時には1年以上にわたる長い道のりです。

その間、プロジェクトを円滑に進める上で最も重要になるのが、窓口となる担当者とのコミュニケーションです。

工務店に建築士がいない体制では、この担当者が施主と外部の建築士、そして現場の職人たちを繋ぐ「要」となります。

したがって、この担当者の能力や相性が、家づくりの成否を大きく左右するといっても過言ではありません。

窓口は一本化されているか

まず確認すべきは、打ち合わせの窓口が誰になるのか、という点です。

通常は工務店の営業担当者や現場監督が窓口となり、すべての要望や質問をその人に伝えれば、設計や施工の各方面に適切に伝達してくれるはずです。

しかし、稀に「設計のことは建築士に直接、お金のことは営業に、現場のことは監督に」といったように、話の内容によって窓口がバラバラになるケースがあります。

これでは施主の負担が大きく、伝達ミスや「言った・言わない」のトラブルの原因になりかねません。

契約前に、メインの担当者は誰で、その人が責任を持って情報を一元管理してくれるのかを明確に確認しておきましょう。

担当者のスキルと相性を見極める

担当者には、様々な能力が求められます。

  1. 傾聴力: あなたの漠然とした要望や好みを丁寧にヒアリングし、本質的なニーズを汲み取ってくれるか。
  2. 伝達力: あなたの要望を正確に建築士に伝え、逆に建築士の専門的な設計意図を、あなたに分かりやすく説明してくれるか。
  3. 知識と経験: 建築に関する基本的な知識や、過去の経験に基づいた的確なアドバイスをくれるか。
  4. レスポンスの速さ: 質問や相談に対する返答は迅速か。不安な時にすぐに対応してくれるか。

これらのスキルに加えて、最終的には「人としての相性」も非常に重要です。

何でも気軽に話せるか、信頼できると感じられるか、といった直感的な部分も大切にしてください。

打ち合わせの際に、少しでも違和感や不信感を抱くようであれば、その工務店との契約は慎重に考えた方が良いかもしれません。

良い担当者は、あなたの家づくりにおける最高のパートナーとなります。

建築士が社内にいないからこそ、その橋渡し役を担う担当者の存在は、より一層重要になるのです。

契約前に品質管理の体制を確認しよう

どれほど美しいデザインの家も、その品質を支える確かな施工と管理体制がなければ、安心して長く住み続けることはできません。

特に、設計者と施工者が同じグループに属する「設計施工一貫」の体制では、施主自身がその品質管理体制を厳しくチェックする視点を持つことが重要です。

工事監理は誰が、どのように行うのか

建築基準法では、工事が設計図書通りに実施されているかを確認する「工事監理」を定めることが義務付けられています。

この工事監理は、建築士の資格を持つ者でなければ行うことができません。

工務店に建築士がいない場合、この工事監理は、設計を担当した外部の建築士、あるいは工務店が別途依頼した建築士が行うことになります。

契約前に、以下の点を確認しましょう。

  • 工事監理者: 誰が工事監理者として正式に登録されるのか。その建築士の氏名と資格を確認しましょう。
  • 検査の頻度と内容: 工事監理者は、どのくらいの頻度で現場を訪れ、どのような項目をチェックするのか。基礎の配筋検査や構造体の検査など、重要な工程で必ず立ち会うのか、具体的な計画を尋ねましょう。
  • 監理報告: 検査の結果は、どのような形で施主に報告されるのか。写真付きの報告書などが提出されるのかを確認します。

形だけの「名義貸し」になっておらず、実質的なチェック機能が働く体制になっているかを見極めることが肝心です。

工務店独自の品質基準や検査体制

法定の工事監理とは別に、工務店が独自に設けている品質管理基準や社内検査体制も重要なチェックポイントです。

優れた工務店は、法律で定められた以上の厳しい自社基準を持ち、施工の各段階で多重のチェックを行っています。

例えば、現場監督による日々のチェック、部門の責任者による中間検査、そして最終的な完成検査など、どのようなプロセスで品質を担保しているのかを具体的に説明してもらいましょう。

また、第三者の住宅検査機関(ホームインスペクター)による検査を標準で導入している工務店であれば、より客観的な品質確保への意識が高いと評価できます。

施主が個人的に第三者検査を入れることを快く受け入れてくれるか、という点も、その工務店の品質に対する自信の表れと見ることができるでしょう。

安心・安全な家づくりは、こうした目に見えにくい管理体制によって支えられています。

まとめ:工務店に建築士がいない不安の解消法

これまで、工務店に建築士がいない場合の仕組みからメリット・デメリット、そして具体的な注意点まで詳しく解説してきました。

「建築士がいない」という言葉の響きに不安を感じていた方も、その実態は「社内にいないだけで、外部の専門家と連携して家を建てている」というケースがほとんどであることがお分かりいただけたかと思います。

最終的に重要なのは、建築士が社内にいるかいないかという形式的な問題ではありません。

それよりも、「あなたの理想の家を実現するために、どれだけ質の高いチーム(設計者+施工者)を組んでくれる工務店なのか」という本質を見極めることです。

工務店に建築士がいないからといって、選択肢から外してしまうのは非常にもったいないことです。

むしろ、施工技術に絶対の自信を持つ優れた工務店が、デザイン力のある外部建築士とタッグを組むことで、設計事務所と遜色のない、あるいはそれ以上の素晴らしい家が生まれる可能性も十分にあります。

そのためには、あなた自身がこの記事で得た知識を武器に、主体的に工務店を見極める目を持つことが何よりも大切になります。

施工事例を深く読み込み、担当者と真摯に対話し、品質管理の体制をしっかりと確認する。

こうした一つ一つのステップを丁寧に踏むことで、工務店に建築士がいないことへの漠然とした不安は、具体的な信頼へと変わっていくはずです。

あなたの家づくりが、後悔のない素晴らしいプロジェクトになることを心から願っています。

この記事のまとめ
  • 工務店に建築士がいないとは社内に常駐していないだけのことが多い
  • 設計は外部の提携建築士や設計事務所が担当する
  • 法的には資格を持つ建築士が設計すれば何の問題もない
  • 建築確認申請も提携建築士の名前で行われるため安心できる
  • 契約は設計と施工が一体の工事請負契約が一般的
  • 設計事務所とは契約形態と建築士の立場が異なる
  • デザイン性は提携する建築士のセンスと工務店の方針次第
  • 品質は設計品質と施工品質の両方で判断する必要がある
  • 費用は設計料が内包され割高とは限らないが総額での比較が重要
  • メリットは設計と施工の連携がスムーズな点
  • デメリットは第三者の厳しい監理が働きにくい可能性がある点
  • 失敗しないためには過去の施工事例を徹底的に確認することが不可欠
  • 担当者とのコミュニケーション能力や相性が成功の鍵を握る
  • 契約前には工事監理体制や品質管理基準を必ず確認する
  • 不安を解消し信頼できるパートナーを見つけることが最も重要

 

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