ハウスメーカーは何社回る？平均と後悔しない選び方のコツ

注文住宅を建てようと考えたとき、多くの人が最初に悩むのが、ハウスメーカーは何社回るのが適切なのかという問題ではないでしょうか。

理想のマイホームを実現するためには、慎重なパートナー選びが欠かせません。

しかし、たくさんのハウスメーカーが存在する中で、一体何社に足を運び、話を聞けば良いのか、その基準が分からず戸惑う方も多いはずです。

平均で何社くらい訪問しているのか、多くの会社を比較検討する上でのメリットやデメリットは何なのか、そして、膨大な情報の中から効率的に候補を絞り込んでいくためのポイントはどこにあるのか。

さらには、見積もりを取得した後に、希望に合わなかった会社へどう断り方を伝えれば良いのか、契約してから後悔しないためにも、最初の相談段階から気になる点は尽きません。

やみくもに多くの会社を回るだけでは、時間と労力がかかるばかりでなく、かえって情報過多で混乱してしまう可能性もあります。

この記事では、そうした家づくりに関するあらゆる疑問や不安を解消するために、ハウスメーカーは何社回るべきかという問いに多角的にアプローチします。

先輩たちの平均的な訪問社数から、効率的な情報収集の方法、後悔しないための比較ポイント、そして最終的な会社の選び方まで、あなたの家づくりを成功に導くための具体的なノウハウを網羅的に解説していきます。

この記事を読めば、あなたにとって最適なハウスメーカー探しの進め方が明確になるでしょう。

 

 

ハウスメーカーは何社回るのが平均？理想と現実を解説

注文住宅で訪問する会社の平均社数は3〜5社

注文住宅を建てる際に、ハウスメーカーは何社回るべきか、多くの人が最初に抱く疑問です。

様々なアンケート調査や住宅情報サイトのデータを総合すると、実際に住宅を建てた人が訪問したハウスメーカーの平均社数は、おおむね3社から5社に収まることが分かっています。

この数字は、一つの目安として非常に参考になるでしょう。

では、なぜ3社から5社という数が一般的になっているのでしょうか。

これにはいくつかの理由が考えられます。

まず、1社や2社だけでは、提示された価格やプランが適正であるかどうかの判断が難しく、客観的な比較検討が十分にできません。

それぞれの会社の強みや弱みを把握するためには、最低でも3社程度の情報を集めることが望ましいと言えるでしょう。

一方で、6社、7社と訪問する社の数を増やしすぎると、今度は情報過多に陥ってしまうリスクが高まります。

各社の特徴や担当者の話を詳細に記憶しておくことは困難になり、どの会社が自分たちの希望に最も合っているのか、かえって判断がつきにくくなるのです。

また、打ち合わせには一回あたり数時間程度の時間と労力がかかるため、あまりに多くの会社とコンタクトを取ると、精神的にも肉体的にも疲弊してしまう「比較疲れ」の状態になりかねません。

結果として、3社から5社という数は、十分な比較検討を行うための客観性を担保しつつ、情報過多や疲弊を避けるための現実的なバランスが取れた数字であると言えるのです。

もちろん、これはあくまで平均値であり、すべての人に当てはまるわけではありません。

家づくりに対する考え方や、かけられる時間、事前の情報収集の度合いによって、最適な社数は変わってきます。

例えば、事前にインターネットや雑誌で徹底的にリサーチし、自分たちの希望が明確に固まっている場合は、2社に絞ってじっくり比較するという選択も有効でしょう。

逆に、まだ具体的なイメージが湧いていない段階であれば、まずは幅広く5社程度の話を聞いてみて、そこから自分たちの方向性を見出していくというアプローチも考えられます。

重要なのは、平均という数字に縛られるのではなく、自分たちの状況に合わせて、目的意識を持って訪問する社数を決めることです。

たくさん回るメリットは比較検討しやすいこと

ハウスメーカーを何社も回ることには、手間や時間がかかる一方で、それを上回る大きなメリットが存在します。

その最大の利点は、言うまでもなく「比較検討の質が高まる」という点にあります。

一生に一度の大きな買い物である家づくりにおいて、この比較検討のプロセスは、後悔しないための最も重要なステップと言っても過言ではありません。

具体的にどのようなメリットがあるのか、いくつかの側面に分けて見ていきましょう。

デザインや間取りの選択肢が広がる

複数のハウスメーカーを訪問することで、各社が持つデザインの特色や得意な間取りの提案に触れることができます。

A社では思いもよらなかったような斬新なデザイン、B社では生活動線を徹底的に考え抜かれた機能的な間取りなど、多くの選択肢に触れることで、自分たちが本当に求めている家のイメージがより明確になっていきます。

一社の提案だけでは気づけなかった、新たな可能性やアイデアを発見できるのは、複数社を回るからこその大きな収穫です。

価格の適正さを見極められる

家づくりの総額は、数千万円にも及ぶ高額なものです。

同じような仕様や規模の家でも、ハウスメーカーによって見積もり金額は大きく異なる場合があります。

複数の会社から見積もりを取ることで、おおよその相場観が養われ、提示された金額が適正な範囲内にあるのかを判断する基準を持つことができます。

また、価格交渉を行う際の有効な材料にもなり得ます。

一社だけの見積もりでは、その価格が高いのか安いのかすら判断がつかず、気づかぬうちに損をしてしまうリスクを避けることができます。

性能や工法の違いを理解できる

ハウスメーカーは、それぞれ独自の工法や技術を持っています。

耐震性、断熱性、気密性といった住宅性能は、目には見えにくい部分ですが、長く快適に暮らすためには非常に重要な要素です。

各社の担当者から、自社の技術的な強みや採用している工法について詳しい説明を聞くことで、それぞれの違いを深く理解し、自分たちが何を重視するのかを考えるきっかけになります。

例えば、地震に強い家を建てたいのか、それとも省エネ性能が高い家を求めているのか、比較することで優先順位がはっきりしてくるのです。

担当者との相性を確認できる

家づくりは、契約して終わりではありません。

設計の打ち合わせから施工、そして引き渡し後のアフターサービスまで、担当者とは非常に長い付き合いになります。

そのため、担当者との相性は、家づくりをスムーズに進める上で極めて重要なポイントです。

複数の担当者と実際に会って話をすることで、こちらの要望を真摯に聞いてくれるか、質問に対して的確に答えてくれるか、信頼して任せられる人物かどうかを比較しながら見極めることができます。

このように、多くのハウスメーカーを回ることは、価格、デザイン、性能、人といった多角的な視点から、自分たちにとってベストな一社を選び出すための、非常に有効な手段なのです。

訪問社数が多すぎるデメリットと注意点

ハウスメーカーは何社回るかという問題において、多くの会社を訪問することにはメリットがある一方で、その数が過剰になると、かえって家づくりに悪影響を及ぼすデメリットも生じてきます。

効率的かつ満足のいくパートナー選びをするためには、これらのデメリットと注意点を事前に理解しておくことが不可欠です。

情報過多による混乱

最も大きなデメリットは、情報量が多すぎて頭が飽和状態になってしまうことです。

6社、7社と訪問を重ねると、各社の特徴、提案されたプラン、担当者の名前や話した内容などが混ざり合い、どの情報がどの会社のものだったか、正確に整理することが難しくなります。

各社の良いところばかりが断片的に記憶に残り、「A社のデザインとB社の性能、C社の価格を組み合わせられれば最高なのに」といった、実現不可能な理想を追い求めてしまい、現実的な判断ができなくなるケースも少なくありません。

この状態を「比較疲れ」と呼び、最終的な決断を下すエネルギーが枯渇し、家づくりそのものが苦痛になってしまうことさえあります。

時間と労力の膨大な消費

ハウスメーカーとの打ち合わせは、想像以上に時間と体力を消耗します。

一回の訪問で2〜3時間、事前準備や移動時間を含めると半日仕事になることも珍しくありません。

これを多くの会社で繰り返すとなると、貴重な休日がすべて打ち合わせで潰れてしまい、プライベートな時間がなくなってしまいます。

特に共働き夫婦の場合は、スケジュールの調整も大きな負担となるでしょう。

時間と労力をかけすぎた結果、疲れ果ててしまい、「もうどこでもいいや」と投げやりな気持ちで契約してしまうことは、最も避けたい事態です。

断る際の精神的な負担

訪問して打ち合わせを重ね、丁寧な提案や見積もりまで作成してもらった会社に対して、断りの連絡を入れるのは、多くの人にとって心理的な負担が大きいものです。

訪問社数が多ければ多いほど、この「断る」という行為を何度も繰り返さなければなりません。

熱心に対応してくれた担当者に申し訳ないという気持ちから、断りの連絡を先延ばしにしてしまったり、気まずさから曖昧な返事をしてしまったりすることもあるでしょう。

こうした精神的なストレスも、訪問社数が多すぎることの無視できないデメリットです。

注意点：目的意識を持つこと

これらのデメリットを避けるための最大の注意点は、「何のために訪問するのか」という目的意識を明確にしておくことです。

ただ何となく情報を集めるために数を回るのではなく、「今回はデザインの方向性を確かめる」「今回は資金計画について具体的に相談する」といったように、各訪問でのテーマを決めておくと良いでしょう。

また、事前にインターネットや資料請求である程度の情報を収集し、自分たちの希望に合いそうな会社を3〜5社程度に絞り込んでから訪問するというステップを踏むことが、非常に重要です。

やみくもに数をこなすのではなく、質の高い比較検討を行うという意識を持つことが、後悔しないハウスメーカー選びにつながります。

契約までの流れと必要な期間の目安

ハウスメーカー探しを始めてから、実際に契約を締結するまでには、いくつかのステップを踏む必要があり、それぞれに一定の期間がかかります。

ハウスメーカーは何社回るかという計画を立てる上でも、この全体像とタイムスケジュールを把握しておくことは非常に重要です。

ここでは、一般的な契約までの流れと、それぞれのステップで必要となる期間の目安について解説します。

ステップ1：情報収集と比較検討（期間：1ヶ月〜3ヶ月）

すべての始まりは、情報収集です。

この段階では、インターネットの比較サイト、住宅雑誌、SNS、一括資料請求サービスなどを活用し、どのようなハウスメーカーがあるのか、それぞれの特徴や価格帯、デザインの傾向などを幅広くリサーチします。

そして、集めた情報をもとに、自分たちの好みや予算に合いそうな会社をリストアップしていきます。

このリストの中から、実際に訪問したり、オンラインで相談したりする候補を3〜5社程度に絞り込むまでが、このステップの目標となります。

じっくり時間をかけて行うべき、家づくりの土台となる重要な期間です。

ステップ2：初回訪問・ヒアリング（期間：1ヶ月〜2ヶ月）

絞り込んだハウスメーカーのモデルハウスを訪問したり、相談会に参加したりして、担当者と直接話をします。

ここでは、自分たちが思い描く家のイメージ、予算、ライフスタイル、こだわりたい点などを伝え、担当者からのヒアリングを受けます。

この段階で、会社の雰囲気や担当者との相性などを肌で感じ取ることが重要です。

各社との初回接触を終えるのに、1ヶ月から2ヶ月程度を見込んでおくと良いでしょう。

ステップ3：プラン提案・概算見積もりの提示（期間：1ヶ月〜2ヶ月）

初回ヒアリングの内容をもとに、各ハウスメーカーが具体的な間取りプランと、概算の見積もりを作成し、提示してくれます。

ここで初めて、自分たちの要望がどのような形で実現できるのか、そしてそれにはどれくらいの費用がかかるのかが具体的に見えてきます。

提示された複数のプランと見積もりをじっくりと比較検討し、各社の提案力やコストパフォーマンスを見極めます。

この段階で、最終的に契約候補とする会社を2〜3社にさらに絞り込んでいきます。

ステップ4：詳細な打ち合わせ・本見積もりの取得（期間：1ヶ月）

絞り込んだ2〜3社と、より詳細な打ち合わせを重ねていきます。

間取りの修正、内外装の仕様、キッチンやバスルームなどの設備、コンセントの位置といった細かい部分まで決めていき、プランを確定させます。

そして、その確定したプランに基づいた、詳細な「本見積もり」を提出してもらいます。

この本見積もりを比較し、契約する一社を最終的に決定するための最終段階です。

ステップ5：契約

すべての条件に納得し、この会社と家づくりを進めていきたいと決心したら、工事請負契約を締結します。

情報収集を開始してから契約に至るまでのトータル期間は、スムーズに進んだ場合でも、およそ4ヶ月から8ヶ月程度かかるのが一般的です。

もちろん、これはあくまで目安であり、もっと早く決まるケースもあれば、1年以上かかるケースもあります。

焦らず、自分たちのペースで着実に進めていくことが大切です。

ステップ	内容	期間の目安
1. 情報収集と比較検討	ネットや雑誌でリサーチし、訪問候補を3〜5社に絞る	1ヶ月〜3ヶ月
2. 初回訪問・ヒアリング	モデルハウス訪問や相談会で、要望を伝え担当者と話す	1ヶ月〜2ヶ月
3. プラン・概算見積もり	各社から間取りと概算見積もりの提案を受け、2〜3社に絞る	1ヶ月〜2ヶ月
4. 詳細打ち合わせ・本見積もり	仕様を確定させ、詳細な本見積もりを取得し、1社に決定する	1ヶ月
5. 契約	工事請負契約を締結する	-

まずは無料相談で情報を集めるのがおすすめ

ハウスメーカーは何社回るかという計画を立てる際、いきなりモデルハウスの予約を取って訪問するのは、少しハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。

そこでおすすめしたいのが、本格的なアクションを起こす前の準備段階として、「無料相談」の機会を積極的に活用することです。

現在、多くのハウスメーカーが、家づくりに関する様々な疑問や不安に答えるための無料相談窓口を設けています。

これには、対面での相談会はもちろん、自宅から気軽に参加できるオンライン相談会など、多様な形式があります。

なぜ、この無料相談がおすすめなのでしょうか。

その理由は、効率的かつ気軽に、質の高い一次情報を集めることができるからです。

モデルハウスを訪問すると、具体的なプランニングや営業の話に進展しがちですが、無料相談の段階では、もっとフラットな立場で基本的な質問をすることができます。

例えば、以下のような情報を得るのに最適です。

これらの情報は、本格的に訪問する会社を絞り込む上で、非常に重要な判断材料となります。

わざわざ時間をかけて訪問したにもかかわらず、「デザインの方向性が全然違った」「そもそも予算が合わなかった」といったミスマッチを、事前に防ぐことができるのです。

また、無料相談は、家づくりに関する自分たちの知識を深める絶好の機会でもあります。

プロの視点から様々なアドバイスを受けることで、これまで漠然としていた理想の家のイメージが、より具体的で現実的なものへと変わっていくでしょう。

自分たちが何を重視し、どんな暮らしをしたいのか、その軸を固める手助けにもなります。

さらに、オンライン相談を活用すれば、移動時間や交通費をかけることなく、複数のハウスメーカーの話を短期間で効率的に聞くことが可能です。

休日にまとめて3社のオンライン相談に参加するといったことも容易で、タイムパフォーマンスの観点からも非常に優れています。

このように、無料相談は、ハウスメーカー選びの初期段階における羅針盤のような役割を果たしてくれます。

本格的な打ち合わせに入る前に、まずはこの機会を最大限に活用し、自分たちの家づくりの方向性を定め、訪問すべき会社を賢く見極めていくことを強くおすすめします。

 

 

 

ハウスメーカーは何社回るかより重要な会社の絞り方

後悔しないためのハウスメーカーの選び方

ハウスメーカーは何社回るかという問いは、突き詰めれば「どうすれば後悔しないパートナーを選べるか」という問題に行き着きます。

訪問する社の数自体が目的ではなく、あくまで最適な一社を見つけるための手段に過ぎません。

ここでは、後悔しないハウスメーカー選びを実現するために、押さえておくべき本質的な選び方の基準について深掘りしていきます。

1. 会社の基本性能と信頼性を確認する

デザインや間取りといった目に見える部分に注目しがちですが、長く安心して暮らすためには、建物の基本的な性能と、それを支える会社の信頼性が何よりも重要です。

• 住宅性能：耐震性、断熱性、気密性など、住宅の基本性能は必ず確認しましょう。各社がどのような基準で家づくりをしているのか、長期優良住宅への対応はどうかなど、具体的な性能指標を比較することが大切です。
• 工法・構造：木造軸組、2x4（ツーバイフォー）、鉄骨造など、ハウスメーカーによって採用している工法は異なります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分たちの希望（例えば、間取りの自由度を重視するのか、耐震性を最優先するのか）に合った工法を持つ会社を選びましょう。
• 経営の安定性：家は建てて終わりではなく、何十年と住み続けるものです。将来にわたるアフターサービスや保証を確実に受けるためにも、会社の経営が安定していることは重要な要素です。会社の設立年数や、業績などをチェックしておくと安心です。

2. 自分たちの「価値観」との一致度を見極める

性能や価格といったスペックの比較だけでなく、そのハウスメーカーが持つ「家づくりに対する哲学」や「デザインの方向性」が、自分たちの価値観と合っているかを見極めることが、満足度の高い家づくりにつながります。

• デザインの好み：シンプルモダン、ナチュラル、和風、洋風など、各社には得意とするデザインのテイストがあります。施工事例集やモデルハウスを見て、自分たちが「素敵だな」と心から思えるデザインの家を建てている会社を選びましょう。
• 暮らしの提案力：単に要望通りの箱を作るのではなく、自分たちのライフスタイルを理解し、より良い暮らしを提案してくれるかどうかも重要なポイントです。家事動線や収納計画、将来の家族構成の変化まで見据えた提案をしてくれる会社は信頼できます。

3. アフターサービスと保証内容を比較する

家が完成した後の長期的なサポート体制は、ハウスメーカー選びにおいて見過ごされがちですが、非常に重要な比較ポイントです。

• 保証期間と内容：構造躯体や防水に関する初期保証の期間（一般的には10年）、その後の延長保証の条件などを詳しく確認しましょう。
• 定期点検の頻度と内容：引き渡し後、何年目にどのような内容の定期点検を実施してくれるのかを比較します。点検の頻度や、点検時の費用負担の有無なども確認が必要です。
• サポート体制：トラブルが発生した際に、すぐに対応してくれるサポート窓口があるか、迅速な対応が期待できるかも確認しておくと安心です。

これらの基準を総合的に評価し、自分たちにとって最もバランスの取れた一社を選び出すことが、後悔しないハウスメーカー選びの鍵となります。

会社を効率的に絞り込むための3つのポイント

数多くのハウスメーカーの中から、自分たちに合った候補を効率的に絞り込んでいく作業は、家づくり成功への第一歩です。

ハウスメーカーは何社回るかという問題も、この絞り込みの精度が高ければ、無駄に多くの会社を訪問する必要がなくなります。

ここでは、膨大な選択肢の中から、有力な候補を効率的に見つけ出すための、特に重要な3つのポイントについて解説します。

ポイント1：譲れない条件としての「予算」を明確にする

家づくりにおいて、予算は最も現実的で、かつ重要な絞り込みの軸となります。

最初に、自己資金と住宅ローンで賄える総額を把握し、「建物本体にかけられる予算の上限」を明確に設定しましょう。

この予算を基準にすることで、検討対象となるハウスメーカーの価格帯が自ずと見えてきます。

注意すべきは、広告などで目にする「坪単価」だけで判断しないことです。

坪単価の算出基準は会社によって異なり、付帯工事費や諸経費が含まれていない場合がほとんどです。

大切なのは、最終的にかかる「総額」で比較すること。

各社のウェブサイトや資料で、おおよその価格帯や標準仕様で建てた場合の総額モデルを確認し、自分たちの予算感と大きくかけ離れている会社は、この段階で候補から外すのが賢明です。

予算という明確なフィルターを最初にかけることで、その後の検討プロセスを大幅に効率化できます。

ポイント2：理想の「デザイン・性能」の方向性を定める

次に重要なのが、自分たちがどのような家に住みたいのか、その方向性を夫婦や家族ですり合わせておくことです。

「デザイン」と「性能」という2つの観点から考えてみましょう。

• デザインの方向性：外観はシンプルモダンが良いのか、温かみのあるナチュラルテイストか。内装は無垢材をふんだんに使いたいのか、スタイリッシュな空間にしたいのか。好きなデザインのテイストが明確になれば、その系統を得意とするハウスメーカーに絞りやすくなります。各社の施工事例集を見るのが最も効果的です。
• 重視する性能：家の性能の中で、何を最も優先したいかを決めます。「地震に絶対的に強い家が良い」のであれば耐震性を、「光熱費を抑えたい」のであれば断熱性や気密性を、「静かな環境で暮らしたい」のであれば遮音性を重視するなど、優先順位をつけましょう。これにより、各社の技術的な強みと自分たちのニーズをマッチングさせることができます。

この「理想の方向性」が定まっていないと、どの会社を見ても良く見えてしまい、絞り込みが困難になります。

ポイント3：情報収集の方法を使い分ける

効率的な絞り込みには、情報収集ツールの賢い使い分けが欠かせません。

このように、情報収集のフェーズを段階的に進めることで、やみくもに訪問するのではなく、目的を持って効率的に会社を絞り込んでいくことが可能になります。

見積もりで必ず比較すべき重要項目

ハウスメーカー選びが終盤に差し掛かり、最終候補の2〜3社から見積もりを取得した際、その内容を正しく比較検討することが、最終決定を下す上で極めて重要になります。

ハウスメーカーは何社回るか検討してきたプロセスの集大成とも言えるこの段階で、単に総額だけを見て判断してしまうと、後で「こんなはずではなかった」という事態に陥りかねません。

ここでは、見積もりを比較する際に、必ずチェックすべき重要項目について解説します。

1. 見積もりの「内訳」を詳細に確認する

見積もりは大きく分けて、「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」の3つで構成されています。

総額だけでなく、これらの内訳がそれぞれいくらになっているかを確認し、その詳細な項目まで目を配ることが大切です。

• 本体工事費：建物そのものを建てるための費用です。構造材、内外装材、基本的な設備などが含まれます。
• 付帯工事費：建物本体以外にかかる工事費用です。地盤改良工事、屋外給排水工事、外構工事、解体工事（建て替えの場合）などがこれにあたります。この付帯工事費が見積もりにどこまで含まれているかは、会社によって差が出やすいポイントです。
• 諸経費：工事以外にかかる費用で、設計料、建築確認申請費用、登記費用、火災保険料、住宅ローン手数料などが含まれます。

A社では見積もりに含まれていた項目が、B社では別途費用になっている、というケースは頻繁にあります。各社の見積もりの前提条件を揃えて比較するためにも、どこまでの費用が含まれているのかを必ず担当者に確認しましょう。

2. 「標準仕様」と「オプション仕様」の範囲を明確にする

見積もり金額を左右する大きな要因の一つが、何が「標準仕様」で、何が「オプション仕様」になるのか、その線引きです。

例えば、キッチンやバスルームのグレード、床材や壁紙の種類、窓の性能などが、標準仕様の範囲内で自分たちの希望を満たしているかを確認する必要があります。

モデルハウスで見て気に入った設備が、実は高価なオプションだったということも少なくありません。

提示された見積もりが、どのグレードの仕様に基づいているのか、もし仕様をグレードアップした場合にどれくらい金額が上がるのかを、各社に詳しくヒアリングしましょう。

見た目の金額が安くても、希望を叶えるためにオプションを多用した結果、最終的に高額になってしまう可能性もあります。

3. 提案されたプランと金額の「費用対効果」を考える

最終的には、提示された金額とその内容、つまり「費用対効果」で判断することが重要です。

たとえA社の見積もりがB社より50万円高かったとしても、A社のプランに自分たちのこだわりが詰まっていたり、より高性能な断熱材が使われていたりするのであれば、その50万円は価値のある投資と言えるかもしれません。

価格の安さだけを追求するのではなく、その金額でどのような価値（デザイン、性能、間取り、安心感など）が得られるのかを総合的に評価し、自分たちが最も納得できる提案を選びましょう。

以下の表のような比較シートを自作し、各社の条件を整理すると、客観的な判断がしやすくなります。

比較項目	A社	B社	C社
総額	3,000万円	2,950万円	3,100万円
本体工事費	2,200万円	2,250万円	2,300万円
付帯工事費	500万円	450万円	500万円
諸経費	300万円	250万円	300万円
標準仕様の範囲	キッチンA、バスB	キッチンC、バスD	キッチンA、バスB
提案プランの満足度	◎	△	○

希望に合わない会社のスマートな断り方

ハウスメーカー選びの過程では、複数の会社と打ち合わせを重ねるため、最終的に契約に至らなかった会社に対して、断りの連絡を入れるというプロセスが必ず発生します。

特に、熱心に提案してくれた担当者や、何度も打ち合わせに時間を割いてくれた会社に対しては、「断りにくい」「申し訳ない」と感じるのが人情でしょう。

しかし、断ること自体は、家づくりを進める上で当然の行為です。

ここでは、相手に不快な思いをさせず、かつ自分たちの精神的な負担も軽くする「スマートな断り方」のポイントと具体的な文例をご紹介します。

断る際の基本マナー

まず、断りの連絡を入れる際に心掛けたい基本的なマナーが3つあります。

1. できるだけ早く連絡する：他社と契約することを決めたら、断る会社へは、できるだけ速やかに連絡を入れましょう。相手もあなたが検討中であることを前提に、スケジュールやリソースを確保している可能性があります。連絡を先延ばしにすることは、相手の時間を無駄にさせてしまうことになり、失礼にあたります。
2. 感謝の気持ちを伝える：これまで時間を割いて相談に乗ってくれたこと、素敵なプランを提案してくれたことに対して、まずは感謝の意を伝えましょう。「ありがとうございました」の一言があるだけで、断りの言葉の印象は大きく和らぎます。
3. 断る理由は簡潔に伝える：なぜ断るのか、その理由を正直に、かつ簡潔に伝えることが大切です。ただし、相手を非難するような言い方は避けましょう。「他社の提案が、私たちの希望により合っていたため」といった表現が一般的で、角が立ちにくいです。

断る方法は「メール」がおすすめ

電話で直接断りを伝えるのは、心理的なハードルが高いと感じる方が多いでしょう。

そこでおすすめなのが、メールでの連絡です。

メールであれば、自分のタイミングで、言葉を選びながら冷静に文章を作成することができますし、相手も業務の合間に確認することができます。

また、「言った・言わない」のトラブルを避けるためにも、断ったという記録が文字として残るメールは有効な手段です。

メールでの断り方・文例

以下に、メールで断る際の具体的な文例を記載します。これを参考に、ご自身の状況に合わせてアレンジして使ってみてください。

件名：打ち合わせのお礼とご連絡（自分の氏名）

株式会社〇〇
〇〇様

いつもお世話になっております。
〇〇（自分の氏名）です。

先日は、私どもの家づくりのために、貴重なお時間をいただき、また素晴らしいプランをご提案いただきまして、誠にありがとうございました。

社内で慎重に検討を重ねました結果、大変申し訳ございませんが、今回は他社のプランで進めさせていただくことになりました。

〇〇様にご提案いただいたデザインやアイデアは、大変魅力的で、最後まで悩んだ末の結論となります。

ご尽力いただきましたにもかかわらず、このようなお返事となり、誠に申し訳ございません。

末筆ではございますが、〇〇様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

（署名：自分の氏名、連絡先）

このように、感謝の気持ちと誠実な姿勢で伝えれば、相手もきっと理解してくれるはずです。

断ることを過度に恐れず、家づくりのプロセスの一部として、適切に対応していきましょう。

まとめ：後悔しないためにハウスメーカーは何社回るべきか

これまで、ハウスメーカー訪問の平均社数から、メリット・デメリット、そして効率的な絞り方まで、様々な角度から解説してきました。

それでは、最終的な結論として、後悔しないためには、ハウスメーカーは何社回るのが最も良いのでしょうか。

この記事を通じてお伝えしたかったのは、「最適な社数に絶対的な正解はなく、重要なのは数そのものではなく、質の高い比較検討のプロセスを経ることである」ということです。

多くの人が3社から5社を回るという平均データは、確かに一つの有効なベンチマークとなります。

この範囲内であれば、客観的な比較を行うための十分な情報を得つつ、情報過多による混乱や比較疲れを避けやすい、バランスの取れた活動ができる可能性が高いからです。

しかし、それはあくまで結果論としての平均値に過ぎません。

本当に大切なのは、訪問する前段階での準備です。

まず、自分たちの家づくりにおける「譲れない条件」を明確にすること。

それは予算なのか、デザインなのか、耐震性能なのか、あるいは担当者との相性なのか。

この軸が定まっていれば、数多くのハウスメーカーの中から、自分たちが会うべき会社は自ずと絞られてきます。

そして、一括資料請求やオンライン相談といった便利なツールを駆使して、効率的に一次情報を集め、有力な候補をふるいにかけていく。

このプロセスを丁寧に行えば、たとえ訪問するのが2社だけであっても、非常に密度の濃い、満足のいく比較検討ができるでしょう。

逆に、何の準備もせずに手当たり次第に7社、8社と訪問しても、それは単なる時間の浪費に終わり、最良の決断には結びつきにくいかもしれません。

ハウスメーカーは何社回るかという問いに対する答えは、あなた自身の中にあります。

それは、「自分たちが心から納得できる一社を見つけるために、何社の話を聞く必要があるか」ということです。

この記事でご紹介した選び方のポイントや、比較項目、断り方のマナーなどを参考に、ぜひあなた自身の基準で、あなただけの家づくりのパートナーを見つけ出してください。

焦らず、楽しみながら、後悔のないハウスメーカー選びを進めていかれることを心から願っています。